脊髄性筋萎縮症(SMA)

概念・定義

脊髄性筋萎縮症(SMA)は、脊髄の前角細胞の変性による筋萎縮と進行性筋力低下を特徴とする下位運動ニューロン病である。上位運動ニューロン徴候は伴わない。体幹、四肢の近位部優位の筋力低下、筋萎縮を示す。発症年齢、臨床経過に基づき、I 型(OMIM#253300)、II 型(OMIM#253550)、III 型(OMIM#253400)、IV 型(OMIM#27115)に分類される。I、II 型の95%にSMN 遺伝子欠失が認められ、III 型の約半数、IV 型の1-2 割においてSMN(survival motor neuron)遺伝子変異を認める。

 

症状

I 型:重症型、急性乳児型、ウェルドニッヒ・ホフマン(Werdnig-Hoffmann)病発症は出生直後から生後6ヶ月まで。フロッピーインファントの状態を呈する。肋間筋に対して横隔膜の筋力が維持されているため吸気時に腹部が膨らみ胸部が陥凹する奇異呼吸を示す。定頸の獲得がなく、支えなしに座ることができず、哺乳困難、嚥下困難、誤嚥、呼吸不全を伴う。舌の線維束性収縮がみられる。深部腱反射は消失、上肢の末梢神経の障害によって、手の尺側偏位と手首が柔らかく屈曲する形のwrist drop が認められる。人工呼吸管理を行わない場合、死亡年齢は平均6~9カ月である。

II 型:中間型、慢性乳児型、デュボビッツ(Dubowitz)病発症は1歳6ヶ月まで。支えなしの起立、歩行ができず、座位保持が可能である。舌の線維束性収縮、手指の振戦がみられる。腱反射の減弱または消失。次第に側彎が著明になる。II 型のうち、より重症な症例は呼吸器感染に伴って、呼吸不全を示すことがある。

III 型:軽症型、慢性型、クーゲルベルグ.ウェランダー(Kugelberg-Welander)病発症は1歳6ヶ月以降。自立歩行を獲得するが、次第に転びやすい、歩けない、立てないという症状がでてくる。後に、上肢の挙上も困難になる。

Ⅳ 型:成人期以降の発症のSMA をIV 型とする。小児期発症のI、II、III型と同様のSMN 遺伝子変異によるSMA もある。一方、孤発性で成人から老年にかけて発症し、緩徐進行性で、上肢遠位に始まる筋萎縮、筋力低下、筋線維束性収縮、腱反射低下を示す場合もある。これらの症状は徐々に全身に拡がり、運動機能が低下する。また、四肢の近位筋、特に肩甲帯の筋萎縮で初発する場合もある。SMA においては、それぞれの型の中でも臨床的重症度は多様である

 

抜粋元:脊髄性筋萎縮症 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)

 

関連団体

HOME | SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会 (sma-kazoku.net)