先天性水頭症
概念・定義
水頭症は何らかの原因により頭蓋内(脳室、くも膜下腔など)に過剰な髄液が貯留した状態を指す.通常は脳室拡大を伴うが、脳表くも膜下腔主体に髄液が貯留(外水頭症)することもある.髄液貯留に伴い頭蓋内圧亢進に由来する各種症状・兆候を伴う.先天性水頭症は、水頭症の中でも胎児期に発症し胎児期に診断された水頭症、および胎児期に発生し出生後早期に診断された水頭症を指す.この中には二分頭蓋・脊髄髄膜瘤・全前脳胞症など他の先天性疾患・症候群に伴ったものと、明らかな原因が不明な特発性水頭症(遺伝性水頭症・水無脳症・6q deletion 症候群などの染色体異常に伴うものなど)を含む.
症状
頭蓋内圧亢進に起因する各種症状・兆候を示す.先天性水頭症の多くは胎児期・乳児期早期に診断されるため、頭囲拡大・大泉門緊満が主症状となる.後者は、進行が緩徐な場合は頭囲拡大により代償され、明らかでないこともある.頭囲静脈度長・落陽現象は進行した重度の頭囲拡大に合併して認めることがある.また頭蓋縫合離開、重症例では鬱血乳頭を呈することがある.診断時より、あるいは成長に伴い精神運動発達障害・行動異常、視機能・内分泌機能障害が明らかとなってくることが多い.
治療
先天性水頭症の治療に当たっては、全身状態、とりわけ体重との関係で初期治療の進め方が異なってくる.一般に、体重2000~2500g では、出生後に髄液リザーバーを頭皮下に設置し、定期的に髄液を穿刺排液する.体重2500g 以上となると、脳室腹腔短絡(VP シャント)術を行う.先天性水頭症の発生機序によっては、内視鏡治療(第3 脳室開窓術)が適応になることもあるが、1歳以下での手術成功率は50-60%と決して高くはないことに留意する.
抜粋元:先天性水頭症 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)