全前脳胞症

概念・定義

神経管の腹側化障害により左右の大脳半球(前脳)が分離不全を生じ,正中部で大脳皮質・基底核・視床の癒合が認められる。脳葉形成の程度により無分葉alobar,半分葉semilobar,分葉lobar に分類される。

 

症状

約80%に眼間狭小,鼻中隔欠損,象鼻、口唇・口蓋裂など顔面正中部の低形成による顔貌異常を伴い,最重度では単眼症をきたす。家族性の軽症例では,単一切歯のみで脳奇形を伴わない例がある。多くは重度の知能障害と運動障害をきたし,視床下部・下垂体・脳幹機能の異常による低体温や呼吸・循環不全,成長障害・尿崩症・電解質異常などの内分泌障害,摂食障害を伴う。てんかん発作の併発頻度は約50%と比較的少ないが,その半数は難治例である。突然の低ナトリウム血症によりけいれん発作を起こすことが多い。脳画像検査では,大脳皮質・基底核・視床の正中部での癒合の他に、大脳鎌の欠損,透明中隔の欠損,背側嚢胞dorsal cyst を認める

 

治療

発達障害に対するリハビリテーション、てんかん発作の抑制、内分泌障害の治療、呼吸・循環不全の管理、摂食障害に対する栄養管理、保温が必要である

 

抜粋元:全前脳胞症 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)