乳児重症ミオクロニーてんかん
概念・定義
乳児期発症の難治てんかんであり、入浴や発熱で誘発されやすい焦点性、片側性もしくは全般性の間代性けいれん発作を繰り返し、重積・群発傾向があるのが特徴である。抗てんかん薬治療に抵抗性で非常に難治である。1 歳頃より、けいれん発作のみならずミオクロニー発作や非定型欠神発作、複雑部分発作が出現し、精神運動発達も停滞する。また一部の例では光・図形過敏を呈する。全般性や片側性のけいれん発作と複雑部分発作のみ呈し、ミオクロニー発作や非定型欠神発作を併存しない症例も存在する。本症候群では70-80%の症例でナトリウムチャンネル遺伝子SCN1Aのヘテロ異常を有する。てんかん発作は学童期以降に軽減傾向となるが、失調や不器用,多動,知的障害や自閉性障害が明らかとなる。発生率は2~4 万人に1人とされる。1989年の国際てんかん症候群分類では全般てんかんと部分てんかんの両者の特徴を併有する未決定てんかんに、2010 年分類試案では乳児期発症のてんかん性脳症に含まれる。かつては乳児期発症で、ミオクロニー発作を伴うことより乳児重症ミオクロニーてんかんと呼ばれたが、必ずしもミオクロニー発作を伴う症例ばかりではないこと、乳児期発症ではあるが成人期まで続く難治てんかんであることより、最近では本症候群を提唱したDravetの名に因んでDravet症候群と呼ばれている。
治療
非常に難治で、長時間けいれん発作を繰り返すためで多剤併用が一般的である。日本においては従来臭化Kを軸としてバルプロ酸、ゾニサマイド、クロナゼパム、クロバザム等を併用していたが、最近、新規抗てんかん薬の導入が進み、欧米で使用されているスチィリペントールを軸としてバルプロ酸とクロバザムを併用する治療法が普及してきている。その他にトピラメートやレベチラセタムなども試みられている。またカルバマゼピン、ラモトリギン、フェニトインは発作を悪化させる可能性が報告されている。
抜粋元:乳児重症ミオクロニーてんかん 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)