点頭てんかん(ウエスト症候群)

概念・定義

欧米ではinfantile spasms とも呼ばれることもある。その成因は多彩であり、出生前由来の結節性硬化症から後天的な急性脳炎後遺症まで様々である。発症前の発達は、重度の遅れがある場合から正常発達まである。好発年齢は1 歳以下で、2 歳以上は稀である。その発作は特異であり、座位や立位では頭部を一瞬垂れることから、日本では点頭てんかん発作と呼ばれている。以前はミオクロニー発作に分類されたり、強直発作に近いということで強直スパスムスと呼ばれたりした時期もあったが、最近では独立した発作型概念として「てんかん性スパスムス(Epilepticspasms: ES)」として分類されるようになった。発作は単独でも出現するが、多くは「シリーズ形成」と称される様に周期性(5-10 秒毎)に出現するのが特徴である。脳波所見も特徴的で、Gibbs らにより「ヒプスアリスミア」と命名された無秩序な高振幅徐波と棘波から構成される特異な発作間欠期脳波を呈する。覚醒時、睡眠時を問わずほぼ連続して高度の全般性異常波が出現し、West 症候群が属する「てんかん性脳症」の概念の中核を成す所見である。発作予後、知的予後は不良とされ、急速な精神運動発達の停止や退行は不可逆性の場合が多い。治療法には限界があるが、バイガバトリンや副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropichormone: ACTH)療法が本症候群治療の主流を成している。

 

治療

 有効率の観点より第1選択薬は日本ではいまだにACTH 治療であるが、バイガバトリンが入手できるEU 諸国ではバイガバトリンが第1選択薬となっている。日本においてもACTH 治療は副作用も多いため、まず有効性は劣るがより副作用の少ないゾニサミド、バルプロ酸、クロナゼパンやビタミンB6 大量療法が試みられている。ACTH 療法も、副作用を軽減するためにACTH 少量療法(0.015-0.005mg/kg)が行われている。また頭部画像診断で限局性皮質脳異形性や片側巨脳症が存在し、切除可能な場合にはてんかん外科治療も行われている。

 

抜粋元:点頭てんかん(ウエスト(West)症候群) 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)

 

関連団体

ウエスト症候群患者家族会 ホームページ (xn--gcke5c2c707uui9bbpo.jp)