大田原症候群

疾患概念

重症の発達性てんかん性脳症。新生児〜乳児期早期に発症し、てんかん性スパズムを主要発作型とする。焦点発作を伴うこともある。脳波ではサプレッション・バーストパターンが覚醒時・睡眠時を問わず出現する。脳形成異常や遺伝子変異など原因は多様。発達に伴い、ウエスト症候群やレノックス・ガストー症候群へと年齢的変容を示す。

 

疫学

詳細な疫学情報はないが、まれであり患者数は国内で約500人と推測される。

 

病因

脳形成異常をはじめ多様な脳障害を基礎疾患とするが、ARX、STXBP1、KCNQ2、SCN2A などの遺伝子の変異による例が多く報告されている。

 

病理・病態

不明である。

 

臨床症状

生後3カ月以内、とくに新生児期に発症するてんかん性スパズムが主要発作型であり、シリーズ形成性あるいは単発で出現する。焦点発作を合併する例もある。

 

検査所見

脳波で発作間欠時に覚醒時と睡眠時で持続するサプレッション・バーストパターンを認める。神経画像で各種の脳形成異常を認めることが多い。

 

診断

発症は生後 3カ月以内でとくに新生児期であり、シリーズ形成性あるいは単発のてんかん性スパズムを主要発作型とする。脳波で発作間欠時に覚醒時と睡眠時で持続するサプレッション・バーストパターンを認める。

 

診断の際の留意点/鑑別診断

脳波が睡眠時しか記録できず、覚醒時にもサプレッション・バーストパターンが持続すると推測される症例は含まれうる。鑑別診断について、ウエスト症候群とは発症年齢や脳波像の違いにより識別できるが、大田原症候群からウエスト症候群に変容する過程の例も存在するため、経過をみて総合的に診断する。早期ミオクロニー脳症は早期から出現する分節性ミオクローヌスが特徴的であり、焦点発作が多く、脳波のサプレッション・バーストパターンは非典型的であることから鑑別できる。

 

合併症

発達は重度の遅滞を示し、運動障害を伴う。

 

治療

有効な治療法は未確立であり、各種抗てんかん薬の調整、食事療法等で一部改善する場合もあるが、寛解しがたい。脳形成異常を基礎疾患として、てんかん外科手術が可能な例では、発作抑制あるいは軽減に有効なことがある。

 

予後

発作は難治であり、発作が持続する例では高率にウエスト症候群に、その後一部はレノックス・ガストー症候群に年齢的変容を示す。重度の知的障害を認める。発作を抑制できた例でも障害は残る。

 

抜粋元大田原症候群 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)

 

関連団体

患者会について [大田原症候群患者会 おおたはらっこ~波の会~] (1net.jp)