歌舞伎症候群

概念・定義

 1981 年に我が国から発信した原因不明の先天異常症候群。患者の切れ 長の目をもつ顔貌が歌舞伎役者の隈取に似ることから命名された。国内 外から約 400 例の報告がある(推定罹病率は 1/32,000)。ほとんどが弧 発例で家族例は極く少数。

 

症状

(1) 特徴的な顔貌(~100%)

下眼瞼外側 1/3 の外反・切れ長の眼瞼裂(ほぼ 100%),外側1/2が 疎な弓状の眉,先端がつぶれた鼻,短い鼻中隔,突出した大きな耳介変 形

(2) 骨格系の異常(~92%)

指短縮(特に V 指、中節骨短縮),脊柱側弯,椎体矢状裂、肋骨異常 など

(3) 軽度~中等度精神発達の遅れ(~92%)

(4) 生後始まる成長障害(低伸長)(~88%)

(5) 皮膚紋理異常(~90%) 指尖部の隆起(finger pad),指三叉 c,d の欠損,小指球部蹄状紋増加 など

 

合併症

 易感染性、口蓋裂に続発する中耳炎とその後の伝音性難聴、内臓奇形 に伴う種々の合併症など。女児については性早発が時に見られる。

 

治療

 本質的な治療法はない。種々の合併症に対する対症療法。

 

抜粋元:歌舞伎症候群 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)