このページでは医療的ケア児とご家族が安心して自宅で生活するために必要な支援やサービスを紹介します。
医療保険
訪問診療
- 疾病、傷病などにより通院が容易でない場合、訪問診療クリニックなどの医師が定期的に訪問し、診療を行ってもらえます。入院中に病院側がアレンジしてくれるのが一般的です。
- 訪問時以外も日々の体調管理の相談や医療機器の交換、医療物品の支給、予防接種など対応していただけます。体調の不安定なときなどの緊急時の往診など、24時間体制でサポートしてもらえます(物品の支給については、訪問診療クリニックと外来で通う病院とでどちらからの支給となるかは相談の上決まります)。
- 訪問頻度はその子の状態によって医師が家族と相談しながら判断しますが2週間に1回程度の診察が一般的です。
- 訪問は医師と看護師が一緒に来たり、医師単独だったりすることもあります。一回の利用は30~60分であることが多いです。
※頻度、時間などは地域や事業所によって異なります。
訪問看護
医師が必要とした場合に対象となります。入院中に病院側がアレンジしてくれるのが一般的です。
- 医療的ケア、入浴の手伝い、体調管理の相談など対応していただけます。
- 訪問頻度はその子の状態によって医師が家族と相談しながら判断します。原則、1〜3回/週までですが、厚生労働大臣が定める疾病等の場合は週4回以上可能となります。
- 週4日以上の場合は2か所の事業所、週7日以上の場合3か所の事業所と利用することもできます。但し、いずれの場合も同日に2つ以上の事業所を利用することはできません。
- 一回の利用は60~90分であることが多いです。
訪問リハビリ
- 訪問看護ステーションに在籍しているPT(Physiotherapist・理学療法士)、OT(Occupational Therapist・作業療法士)、ST(Speech Therapist・言語聴覚士)といったセラピストと呼ばれるスタッフが支援してくれる場合が多いです。地域のクリニックが在宅訪問してくれるケースもあります。
- 入院中に病院側がアレンジしてくれるのが一般的です。
- 一回の利用は30~60分であることが多いです
リハビリってどんなことするの?
- リハビリテーションは
- 身体を動かすことや動作練習だけでなく、その基礎となる呼吸ケアや、摂食嚥下のトレーニングもリハビリテーションの対象です。
- 小児のリハビリテーションは
- 生まれつきの病気や事故等により、精神・運動発達の遅れや麻痺による運動障害および嚥下や呼吸機能障害のあるお子さんに対して、機能の維持や改善、代替方法の提案をします。ときには絵本やおもちゃを使って、遊びを通した感覚・運動機能、認知機能、言葉の発達を促します。
- 理学療法(PT)
- 身体を動かす、寝返る、座る、這う、歩く等のトレーニングをします。また、呼吸ケアや循環改善のリハビリテーションも行います。
- 作業療法(OT)
- 運動機能のトレーニングに加え、食事や排泄、着替えや整容(顔を拭く、歯を磨く)等、活動の工夫や練習も行います。意思伝達装置の調整や操作練習を行うこともあります。
- 言語聴覚療法(ST)
- 食べる、飲むといった摂食嚥下機能、言語を理解する、話すといった言語機能、文字や絵カードを使った意味の理解やタブレットを用いた代替コミュニケーションのトレーニングを行います。
訪問薬剤
- 日常的に、沢山のお薬を服薬する必要があるお子さんが多いかもしれません。通院が困難な方に対しては、薬剤師さんが家を訪問し、月に1回1ヶ月分などの頻度で薬や栄養剤などを持ってきてくれます(かさばるものをまとめてもってきてくれるため助かります)。お薬を届けてくれたり、お薬の相談も受けてくれます。
- 在宅に移行する過程では、一度に複数の粉薬を飲む場合等にまとめられるものを一包化してもらうと手間がはぶけてとても助かります。同じ薬でも錠剤も粉もあったり服薬しやすいように調整できるものもあります。
- 薬局の選定と契約については退院前に病院に相談するとよいでしょう。
訪問歯科
- 在宅移行以後、必要に応じてご家族の判断でかかることが多いです。
- 定期健診、専門的口腔ケア、摂食指導、歯科治療(乳歯抜歯など)を受けられます。
- 医療依存度の高いお子さんは、抜けた乳歯を誤って飲み込んでしまったり(誤飲)、乳歯が肺に入ってしまったり(誤嚥)、窒息の原因になることもあります。訪問歯科診療の際に、あるいは近隣のかかりつけの歯科医院で、定期的にグラグラしている歯がないかをチェックして必要があれば事前に抜歯を行うことで、乳歯の誤飲や誤嚥を防ぐことができます。
障害者総合支援法
障害者総合支援法及び児童福祉法サービス利用の流れ
サービス利用のためには市区町村の障害児福祉担当窓口に申請して障害福祉サービス受給者証および通所支援受給者証を取得することが必要です。自治体によって受給者証に医療的ケア区分を記載してもらう必要がある場合は、係りつけ医に医療的ケア判定スコア表の作成を依頼してください。
- 相談
申請 - 聞き取り
- 計画作成
スコア表提出 - 支給決定
- 受給者証
支給 - 利用
基本支給量は、通所は〇日/月、介護給付(居宅介護など)は〇時間/月という単位で支給されます。利用者は利用料の1割自己負担が原則となりますが所得に応じた上限額が定められています。
相談支援
障害のある方たちが自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう、障害福祉サービス等利用計画の作成や地域生活への移行・定着に向けた支援等、障害のある方たちの全般的な相談支援を行ってくれます。生活上の多岐にわたる困りごとについて相談ができ、放課後等デイサービスや児童発達支援などの通所支援やその他の障害福祉サービスの利用のための情報提供や利用計画の作成といった支援を受けられます。
居宅介護
- 障害を持っている人で一定の条件を満たすと利用可能になります。時間数で支給されます。
- 支援内容は食事や入浴、排泄といった身体介護から生活に関する相談対応など多岐に渡ります。状態に応じて時間数が支給され利用料は1割負担です。
- 数は少ないですが、喀痰吸引の資格を持ったヘルパーさんであれば吸引などの医療的ケアをお願いすることもできます。
短期入所
ご家族等の介護負担の軽減を図るため、ご家族等が病気の場合や休息(レスパイト)が必要な場合にお子さんをお預かりします。
日中一時支援
心身障がい児・者の方を対象に、日中、一時的にお預かり(見守り)をしてもらえるサービス。保護者がレスパイトや何らかの事情でお子さんを介護できないときに利用可能です。
移動支援
単独では外出困難な障害者(児)が、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動(例えば映画鑑賞や水族館や遊園地、プールなど)や社会参加のため、外出時にヘルパーを派遣し、必要な移動の介助及び外出に伴って必要となる介護を提供するサービス。
訪問入浴
看護職員1名以上を含めた3名以上のスタッフが自宅に訪問し、専用の浴槽を使って入浴をサポートしてくれる介護サービス。
児童福祉法
児童発達支援
未就学の障害のあるお子さんに対して、日常生活における基本動作の指導、知識技能の獲得の支援、集団生活への適応訓練、その他必要な支援を行います。
放課後等デイサービス
就学している障害のあるお子さんに対して、授業の終了後または学校の休業日において、生活能力向上のために必要な訓練、社会との交流の促進、その他必要な支援を行います。
医療型児童発達支援
就学前の手足や体幹に障害のあるお子さんに対し、機能訓練(理学・作業・言語)や保育を通して、成長を支援します。
医療型障害児入所施設
障害のある児童を入所させて、治療を含めた保護、日常生活の指導及び自活に必要な知識や技能の付与を行う施設です。
居宅訪問型児童発達支援
児童発達支援や放課後等デイサービスと同様の支援をご自宅でも受けられるように新設された制度です。主な対象は、通所での利用が難しい重度の障害児に限定されています。
その他
医療的ケア児等支援
センター
医療的ケアのある子どもとその家族へのワンストップでの情報提供や相談窓口、地域の関係機関との連絡と調整役として全国都道府県単位で医療的ケア児等相談支援センターが設立されはじめています。必要に応じてお住まいの近くのセンターに相談してみるとよいでしょう。
※情報は最新でない可能性があります点ご留意ください。
全国医療的ケアライン(アイライン)
全国各地の医療的ケアが必要な当事者や家族、支援者を一つにつなぐネットワークとして誕生した団体です。医療的ケアに関わる家族会が都道府県単位で会員登録しています。
全国家族会マップ
医療的ケア児などのがんばる子どもと家族を支える会Wingsが作成中の全国家族会マップです。