第3回 サポートって具体的にどこまでやってくれる?
※注意
以下の記事は札幌市の学校看護師Aさんへのインタビューを元に作成しております。
地域によって事情は異なることがあります。
一般見解ではなく、個人的見解を多分に含んだ内容となっております。
また、以下のガイドブックを参考にしております。
【2023年版 ver1.0】医療的ケア児の就学ハンドブック (yell-hokkaido.net)
学校内でのケアってどんなことをやってもらえるの?
医療的ケアにあたるものはほぼ全て任せることができます。
つまり、普段自宅で行っているようなケアは全て任せることができます。
ですが、体が不自由な児童が学校に通うには、医療的ケア以外にもサポートが必要でしょう。
医療的ケアにはあたらないものの支援が必要な事柄を生活支援と総称します(行政で使用する用語とはニュアンスが異なります)。
例えば、体が不自由な人が道で困っていたとき、「手伝った方がいいかな?」と思うような事柄のことです。
学校内で考えられる生活支援としては、移動の支援や体育の授業における支援などです。
結論から言えば、これらの生活支援は学校看護師にとっては業務外になります。
体が不自由な児童にとって移動の支援は必須です。
特にエレベーターや昇降機を利用する際には見守りが必要になりますが、これらの見守りは看護師にとっては業務外です。
そのため、こうした見守りを行うのは学校の先生の役割になります。
その他考えられる生活支援としては体育の授業におけるサポート、特にプール授業での支援です。
障害の程度にもよりますが、医療的ケア児の場合一人でプールに入るのは困難なことが多いでしょう。
プールに入るには一緒に入って介助をしてくれる人が必要です。
しかし、こちらもやはり看護師にとっては業務外です。
プール授業を受けさせたい場合、親の付き添いが求められるかもしれません。
こうした生活支援に関して、札幌市教育委員会(以下 市教委)からは「学校看護師に生活支援に関してもある程度対応して欲しい」と要望はされているようです。
ただ、その「ある程度」に関して具体的な指導は現在ないようです。
まだ学校看護師については事例も多くないため、今後少しずつ具体的な支援業務は調整されていくと思われます。
普段の授業以外の学校行事には付き添ってもらえるの?
市教委からの指導では、遠足や運動会など、通常の授業以外の行事に関して学校看護師の付き添いは可能とされています。
一方、宿泊学習については2022年度までは不可とされていましたが、2023年度からは付き添いが可能となりました。
しかし、実際に付き添うかどうかは担当看護師の判断に任されているのが現状です。
市教委からは、「基本的に付き添うべき」とも「特別な事情がない限りは付き添わない」とも指導はされておらず、授業以外の付き添いが決められた業務にはなっていない状況です。
そのため、担当看護師の判断によっては児童の学習機会が損なわれる可能性があります。
この状況は看護師にとっては負担が大きく、今後マニュアル作成等が望まれる部分ではあります。
では実際に付き添ってくれるのかどうかですが、担当看護師の予定が合えば付き添ってくれる場合が多いと思われます。
一人の児童につき複数人の担当が付くため、誰か一人の都合が付かなかったとしても、別の誰かの都合がつく可能性が高いからです。
また、どの担当看護師も都合が付かなかったとしても、派遣会社の方で別の看護師を配置できることもあります。
ただ、普段の授業以外に付き添うというのは、看護師にとってみれば時間外労働のようなものでもあります。
それに対して何かしら手当や報奨が設定されているのかどうかは不透明であり、労働契約には記載されていないとのことです。
現状では上記の通りであるため、授業以外への付き添いを看護師が断ることもあります。
また、断ったとしても責めることはできません。