リハビリテーション?いいえ、ハビリテーション!
医ケア児の中には手足を動かすことが苦手な子がいます。
肢体不自由という状態ですが、これは生まれた時から筋肉の発達が弱かったり、関節が固まってしまっていたりするためです。
我が子が寝たきり同然の生活になるだろうとわかったとき、どう思いましたか?
受け入れられない時期もあったでしょう。
何とかならないものかと頭を悩ませたかもしれません。
きっと最後には、少しでも体が動かせるようになって欲しいと祈ったはずです。
ではそんなささやかな願いをかなえるために、どうすればよいでしょうか?
自然に待っているだけでもゆっくりと成長し、発達してくれるかもしれません。
ですが、自力で動くのが難しい子ですから、親としては何とか手助けしてあげたいですよね。
ということで、リハビリですよ!
小さい子でもリハビリはできるのです。
何だったら生まれた直後、生後一月くらいからでも開始することはできます。
でもちょっと待って!
リハビリって言葉に、ちょっと違和感がありませんか?
医療者の間でも「リハビリ」という言葉で通ってはいますが、「リハビリ」という言葉は生まれた時から障害のある子に対して使うのは、本来の意味を考えると適切ではありません。
病気や怪我によって、本来持っていた手足の機能が失われた、あるいは障害されてしまったため、それらの機能を再獲得するのがリハビリテーション(Rehabilitation)です。
リハビリテーションの目標は「元の状態に回復させる、元の状態に戻す」ことが主体となります。
一方、生まれた時から健常児とは違った状態を本来の姿とする子に対して、その持っている能力を伸ばし社会に適応できるような支援をすることをハビリテーション(Habilitation)と言います。
「元々持っているはずの機能と能力を十分に生かし、その子なりの発達の仕方で、できうる限りの可能性を拡げていく」ことを支援するのがハビリテーションの理念です。
ということで、「リハビリ」という言葉は適切ではないのですが、当サイトでは便宜上ハビリテーションに関しても以下「リハビリ」と呼称します。
リハビリはどこでできるの?
リハビリをしたい!
そう思っても、まずどうすればよいのかわかりませんよね。
「そもそもどこでやるの?」て感じでしょう?
ということで、リハビリをする施設の違いから見ていきましょう!
① 医療機関
リハビリ科を有している病院であれば小児のリハビリも行ってくれる可能性があります。
しかし、小児に対応できるスタッフが在籍していない場合もあり、必ずしも引き受けてもらえるわけではありません。
病院でのリハビリを希望する場合は、まずは出産した病院あるいは通院中の病院に相談してみるとよいでしょう。
小児に特化した医療機関であれば、小児リハビリが可能な場合が多いです。
札幌市内であれば公立の小児医療センターが二か所存在しています。
札幌市発達医療センター/札幌市 (city.sapporo.jp)
北海道立子ども総合医療・療育センター (hokkaido.lg.jp)
これらのような小児専門の医療機関は厚生労働省の指導による施設ではなく、各自治体や法人が設置しているため、地域によってはあったりなかったりします。
基本的には医療機関です。
これらの施設でのリハビリを希望する場合は医療機関へ通院するのと同じ流れになりますので、まずは主治医から紹介状をもらってください。
② 医療型児童発達支援センター
児童発達支援センターは、平成24年の改正児童福祉法の施行によって設けられました。
このセンターを中核に、身近な地域でニーズに応じた必要な発達支援が受けられる体制整備を進め、地域の障害児支援体制の充実を図ることとされています。
児童発達支援センターは、現在(令和6年1月時点)「福祉型」と「医療型」の2つに分けられており、「医療型」児童発達支援については、肢体不自由児のみを対象としています。
主に肢体不自由のある未就学の子を対象に、運動療法・保育(あそび)等の早期発達支援を行い、一人ひとりの心身の発達と生活の自立を支援していくことを目的とした施設です。
運動療法の一環として、リハビリを行います。
また、保護者に対しては、発達支援に関する知識の修得や日常生活、就学などについての相談援助を行い、地域の子や事業所への支援も行っています。
札幌市:児童発達支援センター/札幌市 (city.sapporo.jp)
しかし、「医療型」児童発達支援センターは全国に91施設(令和4年)というのが現状です。そのため、住んでいる地域によって支援内容や環境に差が生じています。
これらを踏まえて、厚生労働省障害福祉サービス等報酬改定検討チームでは、児童発達支援センターの「福祉型」と「医療型」の一元化、「福祉型」における3類型(障害児、難聴児、重症心身障害児)の区分の一元化について、現在検討が進められています。
センターへの通所は児童福祉法に基づくサービスです。
医療型児童発達支援を利用したいときは、通所支援受給者証と医療保険の保険証ならびに肢体不自由児通所医療受給者証が必要です。
通所支援受給者証と肢体不自由児通所医療受給者証の交付の仕方については各自治体にお問い合わせください。
参照)医療・福祉サービス|医ケアkidsナビ (spesapo-navi.jp)
障害者総合支援法の施行後3年を目途とした見直しに係る今後の障害者部会のスケジュール(案) (mhlw.go.jp)
③ 訪問リハビリテーション
参照)医療・福祉サービス|医ケアkidsナビ (spesapo-navi.jp)
通常病院や診療所、介護施設などで受けられるリハビリを自宅でもできるように、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問するサポートです。
通院・通所が困難で、主治医と相談した結果、訪問リハビリが必要と判断された場合に利用できます。
訪問診療や訪問看護を受けていれば利用できる可能性が高いと思われます。
訪問リハ事業所(病院、診療所など)によるものと、訪問看護ステーションによるものがあります。
40歳以上で介護保険が適応される場合は介護保険によって行われますが、それ以外の場合は医療保険によって行われます。
しかし、小児の訪問リハビリを請け負っている事業所やステーションは多くないため、やってくれるところを見つけるのが難しいかもしれません。
医療保険で行われる訪問リハビリも単位(1単位20分)によって利用時間が定められています。
訪問リハビリは原則週6単位(120分)までとされています。
小児のリハビリができる施設は、大人に比べれば限られています。
ですが、探せばどこかあるはず!
主治医、ソーシャルワーカーなど、色々な人が相談に乗ってくれるはずなので、諦めずに探してみてください!