リハビリって何するの?
正確には「ハビリテーション」というお話は前回しました。
リハビリはどこでできるの?どうやったらできるようになる? (spesapo-navi.jp)
「元々持っているはずの機能と能力を十分に生かし、その子なりの発達の仕方でできうる限りの可能性を拡げていく」ことを支援するのがハビリテーションです。
つまり、「今はできなくても訓練次第でできるようになるかもしれないこと」をやっていくということですね。
具体的に何をするのかというと、それは障害の程度やその子の現在の能力によって変わってきます。
拘縮の強い子であれば、まずはほぐしていくことが必要ですし、逆に弛緩傾向の子であれば、力を入れる動きがメインになるでしょう。
また、リハビリを行う場所によってもやることに違いがあります。
施設で行う場合であれば様々な器具の補助を受けながらのリハビリが可能です。
一方、訪問リハであれば、器具などはなくとも自宅で可能なリハビリを専門家が行ってくれます。
ところで、リハビリっていっぱいした方が効果的……だよね?
医療的ケアの多い子の場合外出すること自体が困難であるため、リハビリをするなら訪問リハを入れる方も多いでしょう。
ですが訪問リハは週に入れられる回数に制限がありますし、人材の問題もあるため毎日行うのは難しいことがほとんどでしょう。
仮にできたとしても、毎日人が家に来るって……どう?嫌じゃない?
でも気が付いているでしょう?
リハビリって毎日やった方が絶対効果あるよね……
じゃあ毎日、誰がやるの? ……自分でやるしかないよね!
しかし、自分でやるしかないとは言え、何をすればよいのかわからないですよね。
リハビリは理学療法士、作業療法士、言語聴覚療法士という国家資格に基づき施行されます。
プロの技ってやつですね。
しかし、プロには及ばなくとも、素人でもある程度のことはできるはず!
というわけで、自宅で、素人でもできる簡単リハビリについて紹介していきましょう!
「正中軸獲得リハビリテーション」
※自力で姿勢を保つことが困難な子向け
一般的な発達をすれば何もしなくてもまっすぐに立つことができます。
では、まっすぐに立つ、とはどういうことでしょうか?
身体軸(頭部、剣状突起、左右骨盤中間位を結ぶ垂線)が地面に対して垂直で傾きがなく、体の左右差がなく、骨・関節の配置が整っている状態のことです。
これらは普段意識されることなく、一般的には何もしなくても勝手に体がそうあろうと調整するものです。
しかし、体の発達に遅れのある子の場合、この「まっすぐ」という感覚が難しいことがあります。
自分の体が傾いているのか、まっすぐなのかがわからない。そもそも体の真ん中ってどこ?という状態です。
そういう子に対して、正中(真ん中)軸獲得リハビリテーションを行います。
真ん中、正中軸がわかるようになることが姿勢を保つ第一歩になります。
寝返りもお座りもあんよも、全ては正中軸の確立から始まるのです。
その第一歩のためのリハビリです。
姿勢を保てない、自分で自分の体を支えられない状態では、自分のことで手一杯で自分の外にはなかなか興味が広がりません。
姿勢を保てるようになれば、自分の外へ興味関心が広がり、それが動きたい、移動したい、という欲求にも繋がっていきます。
また、正中軸の確立は脳性麻痺の子によく見られる反り返りの症状抑制にもなります。
一般的に赤ちゃんの反り返りの原因としては、「何かしらの不快感がある」「姿勢をまっすぐに保つ力の加減ができていない」「寝かせた時や抱き上げた時の反射」「寝返りの練習をしている」というものが考えられますが、脳性麻痺の子に多く見られる原因としては、「姿勢をまっすぐに保つ力の加減ができていない」状態が長く続くからでしょう。
正中軸獲得リハビリによって自分の真ん中がわかるようになれば、姿勢を保つことを意識するようになり、反り返りの抑制につながります。
記事協力: 菅原慎平 先生
訪問看護ステーション所属の理学療法士として障害児リハビリテーションに従事。
現在は独立し、【整体院 札佳】を開院中。
※【整体院 札佳】では小児の個別訪問リハビリは行っておりません。
介護等のために外出が難しいご家族向けの訪問整体は随時受け付けております。