
多くの医ケア児が必要とする経管栄養について
前回の記事で、栄養の摂取方法(経口栄養、経管栄養、経静脈栄養)についてお話しました。
大きく3通りの栄養摂取方法がありますが、その中でも多くの医療的ケア児(医ケア児)が経管栄養に頼って生活しています。
経鼻経管栄養、胃ろう栄養の説明はこちらをご参照ください。
さて、経管栄養の場合、普通にご飯を食べる様にスーパーで食材を買ってきて料理する、というわけにはいきません(ミキサー食の場合はそれもあり)。
それ用に販売されている栄養剤を購入して使うことになります。
どの栄養剤をどれくらい使うのか、主治医と相談して決める必要がありますが、栄養剤と一括りに言っても、わけがわからないくらいたくさんの商品が販売されています。
どれが何なのか、どんな違いがあるのか、全然わからないのが普通です。
私もわかりません。
ですから、だいたいの場合は主治医から提示されたものを使うことになってしまいますが、
「他にもこんな選択肢があるんだな。今使っているのとの違いは何かな?」
という程度の知識は欲しいですよね。
では、まずはどんな種類があるのか、確認してみましょう。

保険適応上の区分
経腸栄養剤の種類分けとしては、まず保険上の区分の違いがあります。
「食品タイプ」と「医薬品タイプ」です。
この二つの大きな違いは、保険が適応されるかどうか。
医薬品であれば保険請求できますが、食品の場合は自己負担です。
保険適応で安く手に入るなら医薬品の方がいいんじゃないの?かというとそうでもありません。
上記表のように、医薬品に比べて食品は種類が多くバリエーションも豊富です。
また医薬品は医師の処方箋が必要なので、手持ちの栄養剤が無くなったとき、医師を通さないと追加購入できないという手間もあります。
安さの面では医薬品、便利さの面では食品に軍配が上がる、という印象です。

経腸栄養剤の種類
消化状態や成分によって「成分栄養剤」「消化体栄養剤」「半消化体栄養剤」に分類されます。
参考(外部リンク):経腸栄養剤の種類と特徴
どの種類を選択するかは、腸管機能や栄養必要量・病態によって変わります。
経腸栄養剤マップ|NST活動と栄養アセスメント|トラブル&ケア|NPO法人PDN
商品に関しては、新しいものが次々に発売されていますので、紹介しているもの以外にも新しい商品が発売されている可能性があります。
上記で紹介した3種類の経管栄養剤以外にも、「天然濃厚流動食」「半固形栄養剤」という種類も存在します。
「天然濃厚流動食」は上記の3種類が「人工濃厚流動食」なのに対し、タンパク源や窒素源を乳タンパクや卵タンパクなど、分解前の状態で使用したものです。
人工のものより、消化の過程が一つ多くなるということです。
消化管の機能に問題がなければ、より自然な食事に近いこちらも選択肢になります。
「半固形栄養剤」はゼリー状の栄養剤です。
時間をかけて投与する必要のある液体状の栄養剤に比べ、一気に投与することが可能なため、介護者の負担が減るというメリットがあります。
しかしその性質上、チューブは20Fr以上の径が必要になります。

実は、小児用の商品はほぼ無い
経腸栄養剤を必要とする子どもはたくさんいるというのに、これはどうしたことか、と思いますよね。
ですがこれが現実。
小児用として売り出されている商品はネスレから食品として販売されている『アイソカル®ジュニア』だけです。
アイソカル ジュニア | 製品情報 | ネスレ ヘルスサイエンス 企業サイト
子どもと大人とでは必要な栄養素の量が違います。
必要なエネルギー量も違います。
大人が摂取してちょうどよくなるように作られた栄養剤では、摂取エネルギーに対して栄養素が子どもに対しては多すぎたり少なすぎたり……
大人用の『アイソカルサポート』と『アイソカルジュニア』の栄養素エネルギー比を見るだけでもその成分の差がわかります。

大人用の栄養剤を子どもに使えないわけではありません。
使えないわけではないけれどもベストではない。
小児用があれば使いたい。無いから使えない。仕方ないから大人用を使っている、という状況。
やっぱり小児用の栄養剤、もっと欲しいですよね。
『アイソカルジュニア』だけでも、全く無いよりはましですが、選択肢が他にない状況というのもどうかと思いませんか?
大人用は覚えきれないくらいの選択肢があるくせに。
せめて医薬品の区分に入る栄養剤が欲しいですよね。
味も1つしか無いってどうかと思うし。
どこかの企業が作ってくれることを期待するしかありません。
まとめ
栄養剤にも色々あることがわかりましたね。
個人的には大人用の栄養剤だとエネルギーと栄養素の必要摂取量が微妙になってしまうのが気になるため、できれば栄養剤よりもミキサー食の方がベターと考えています。
しかしミキサー食は胃瘻造設がマストですし、介護者の負担も増えるため、誰にでもお勧めできるわけではありません。
子ども向けの栄養剤がもっと開発、販売されることを期待するばかりです。



