「口から食べる」だけが「食べる」じゃない!

衣食住は生活の基本。
特に食事、食べるという行為は命に関わる問題なので特に重要です。
しかしながら医療的ケア児(医ケア児)や障害を持った子(障害児)の中には自力で食事をとることが難しい子どもも多いです。
自力で食事ができない理由は様々です。

色々な理由で一般的な「食べる」行為ができない場合、別の方法で栄養を摂らなければいけません。

第一選択肢 できるのならば 経口栄養
口に物を入れて噛んで飲み込む。
一般的な「食べる」行為による栄養摂取方法を経口栄養といいます。
自力で物を口に運ぶことができなかったとしても、介助してあげれば食べられるのであれば、経口栄養が第一選択になります。
第一選択になる理由はもちろん、これが一番自然な形だからです。
また、使わない能力は徐々に衰えてしまうものなので、噛む力、飲み込む力を維持するためにも、少量でも食べられる場合は食べた方がよいとされます。
一連の食べる動作に問題がなかったとしても、十分な量を経口栄養のみでは摂取できない場合もあります。
そうした場合には、他の栄養摂取方法を併用することになります。
また、経口栄養が可能だったとしても、場合によっては第一選択にならないこともあります。
例えば、介助者の負担が大きい場合などです。
食事の形態(ミキサー食や刻み食など)によっては摂取可能、という場合、それらを準備しなければいけなくなるので、介助者の負担は大きくなります。
できるのならば経口栄養が望ましいのは確かですが、看護・介護を継続するために主な栄養摂取方法は他の方法をとり、経口栄養は能力を維持するために1日1回だけ、1週間に1回だけ、というようにスケジュールすることもあります。

第二選択肢 経管栄養
噛む、飲み込む、ができないために食事摂取ができない場合の選択肢です。
鼻からチューブ(ngチューブ、edチューブなど)を挿入する(経鼻栄養)、もしくはお腹に胃と直接つながる穴を作ってチューブを挿入する(胃ろう栄養)などの方法です。
経鼻経管栄養、胃ろう栄養の説明はこちら
噛む、飲み込む、ができなかったとしても、腸管の動きや機能的は問題ないことが多いです。
そうした場合は、なるべく消化管を使用した方がよいとされています。
消化管を使うことで消化機能が維持され、消化管関連ホルモンの働きも正常に近い状態に維持することができます。
ただし、直接胃や腸に栄養剤を注入することになるので、やはり一般的な食事とは違う問題も生じる可能性があります。
・便の性状が定まらない。下痢になりやすい。
・血糖値が上がりやすくコントロールが難しい場合がある。
・注入するための物品が必要となり、それらの清潔にも気を付ける必要がある
・注入時間が決まっているため、外出などに制限がかかる。
・注入に時間がかかる。

第三選択肢 経静脈栄養
消化管、消化機能に異常がある場合の選択肢です。
消化管を使えないので、栄養成分を点滴によって直接血の中に入れてしまいます。
噛む、飲み込む、ができたとしても、消化管に異常がある場合は経静脈栄養を選択することになります。
普段は経口栄養、経管栄養の子でも、体調不良時や入院時に一時的に選択されることもあります。
一時的ではなく、長期間経静脈栄養を行う場合は首や足の付け根など、太い静脈から点滴を取らなければいけません。
そのため、在宅で経静脈栄養を行う場合は静脈ポート(CVポート)など、簡単に点滴を入れることができる装置を埋め込む手術が必要になる場合があります。
入院した際などは経静脈栄養で経過を見ることも多く、入退院を繰り返す医ケア児にとっては馴染み深いものです。
しかしながら、在宅での経静脈栄養はどうしても消化管が使えない、という場合以外に選択されることはほとんどありません。
理由は、感染リスクが高いからです。
直接血管内に栄養を入れることになるので、経口栄養や経管栄養よりもずっと正確な衛生管理が必要になります。
また、血糖コントロールや投与時間なども経管栄養より厳密な管理が必要となります。
介助者にとっても非常に負担が大きくなるため、経口栄養、経管栄養ができる限りは在宅で選択されることはほとんどありません。

まとめ
自力での食事が難しい医ケア児の食事(栄養摂取)方法についてご紹介しました。
医ケア児のケアの程度は様々ですが、重症心身障害児とされる子の場合、経管栄養か、経口栄養併用の経管栄養という子が多いのではないでしょうか?
経管栄養の際の注意点や胃瘻から注入するミキサー食についても当サイト内でご紹介していますので、そちらも併せてご覧ください。


