I-4 インタビュー(パラリンアート様)

この企画の目的は、民間企業が提供する医療的ケア児が利用可能な製品・サービス・プログラムの紹介を通じて、一人でも多くの方々に医療的ケア児を取り巻く環境に関する社会課題について知って頂くことです。それでは第四回目スタート!

 

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スぺサポ:今回インタビューするのは、障がい者アート応援活動に取り組むパラリンアートさん(一般社団法人障がい者自立推進機構)です。回答して下さるのは、パラリンアート運営事務局の伊藤さんです。この度はインタビュー企画にご協力頂きありがとうございます。はじめに簡単に活動の歴史や活用内容についてご紹介をお願いします。

 

 


I-4  インタビュー(パラリンアート様)

 



パラリン:パラリンアート運営事務局の伊藤です。パラリン創業者理事の松永昭弘は2001年~2016年までの15年間、訪問リハビリマッサージの会社を経営しておりました。患者様の約90%が介護度の高い歩行困難高齢者で、約10%が寝たきりの障がい者でした。この訪問リハビリのサービスがパラリンアートを立ち上げるきっかけとなっています。障がい者の多くは先天性で、幼児から40代の障がい者で構成されており、その多くは不思議と母子家庭が多く非常に生活にも困窮している現状を目の当たりにしました。また、ご家族からも『私が死んだらこの子はどうなるのだろう・・・』と共通の言葉を聞くようになります。政府も法定雇用という障がい者雇用推進をすすめていますが、患者の多くは寝たきりのため、働きに行くこともできない方が多くいらっしゃり、何とかもっと所得を上げることができないものか、生きがいとして社会とのつながりをもっと持てないかと考える一方で、障がい者の方々は非常に絵を描くことが多いことを知ります。そこで、絵を使った職域開発へ挑戦し、2007年パラリンアートの絵画レンタルモデルを企画構想し、収益の50%を作者報酬として支払うモデルをスタートさせました。

 

 

<図1:運営背景>

 

I-4  インタビュー(パラリンアート様)

 



スぺサポ:松永代表の訪問リハビリ現場での気づきから始まった活動だったのですね。パラリアンの活動は企業との多様なコラボレーションで社会全体を巻き込もうとされている点から、スポットの支援ではなく持続可能性のある取り組みを本気で追及されていると感じます。これまでの企業とのコラボレーションの中でいくつか事例を教えて頂けませんか?

 

 

パラリン:多くの企業に継続的にご支援いただけるよう、毎年さまざまな用途のご提案をしております。例えば、初年度はコンペ、次年度はその作品の継続使用、その次はライセンス利用などです。中には毎年コンペを開催してくださる企業様もあり、アーティストも楽しみながら作品を制作しています。アート活用の形態は、株主通信の表紙などの企業出版物、絵画展示、ノベルティへのプリントなど、様々な用途があります。また、イベントやキャンペーンの場で作品を活用いただく場合は、弊社が企画から運営までサポートすることも行っております。

 

 

<図2:企業様の活用例>

 

I-4  インタビュー(パラリンアート様)

 

I-4  インタビュー(パラリンアート様)

 

 

スぺサポ:DAISOさんやエポスカードさんなど消費者向けの身近な事例は親近感がわきます!企業の広報活動などにも広く利用されているのは興味深いです。医療的ケア児の中にも潜在的なアーティストがきっといると思うので、興味を持ったご家族や支援者のために登録から契約までの仕組みを教えて頂けますか?

 

 

パラリン:パラリンアートへの登録は障がいのある方であれば、どなたでも無料で“登録“が可能です。また、アーティスト登録時、登録後に一切費用はかかりません。登録をいただく際に、“障がい者手帳の写し”又は“障がいを証明する医師の診断書の写し”をご用意いただきます。登録方法は、全て公式Webサイト(https://paralymart.or.jp/wanted/)上からお申込みをいただきます。ご家族の方などが代理人として登録することも可能です。お申込みをいただく際に、必要事項の入力とご自身で描かれた「絵画」を必ず“1点“登録していただきます。絵画は他のアート団体や外部で登録・使用していない作品や、個人を含めでグッズ作成販売、原画販売、原画複製販売等を行っていない作品のみ登録が可能です。

 

 

<図3:パラリンアートの仕組み>

 

I-4  インタビュー(パラリンアート様)

 


スぺサポ:大人との合作も可能と聞きましたが本当でしょうか?医療的ケア児の中には意思の伝達や表現が得意でない子も多くいらっしゃいます。また、ベッドの上で過ごす時間が多い、頻繁に入院が必要、生活に必要な医療機器や医療材料が多く外出が容易でないなどそもそも社会参加の機会が極端に少ない方々も少なくありません。それらを理由として本人も家族も社会的に孤立した状況に陥ってしまうこともあります。そのようなご家族にとって、パラリンアートという大きな可能性を秘めたプログラムへの参加は大きな希望になるかもしれません。

 

 

パラリン:パラリンアートでは、親子合作や共同制作された作品、サポートを受けながら制作された作品など登録いただいています。作品は写真や立体物を除き、デジタル画や貼り絵、版画、木炭、刺繍など、ご自身が扱い易い画材で作品を制作されています。登録された作品はパラリンアートのホームページ上に「作品」と「作者プロフィール」を掲載できますので、描いていただいた絵画を多くの人に見ていただくキッカケを作ることができます。

 


スぺサポ:可能性は無限大!と感じる一方、パラリンアートのHPに掲載されているアートは、芸術的な完成度が高く、「うちの子には難しいかも、、、。」と躊躇してしまう親御さんもいるかもしれません。アートの芸術的な完成度はそこまで気にしなくともよいのでしょうか?

 

 

パラリン:パラリンアートの特徴として、芸術的な完成度の良し悪しは一切問いません。あくまで作品をご利用いただく方々の感性に判断をお任せしております。作品の使用用途も多岐にわたりますので、どんな作品が何に採用されるか分かりません。まずは登録してみてください。但し、バイオレンス・グロテスク・卑猥な表現のある作品、困惑・嫌悪の感じを抱く作品、公序良俗に反すると事務局が判断した作品は登録をお断りしております。

 

 

スぺサポ:事務局側からそのように言って頂けると肩の力を抜いて参加して頂けそうです。最後に、医療的ケア児とそのご家族にメッセージをお願いいたします。

 

 

パラリン:パラリンアートは、外出が困難な方や、社会参加の機会が少ない方々に、アートを通して現状を少しでも改善できることを目指しています。 アートを通じて表現されるお子様の才能や個性は、私たちに大きな感動と希望を与えてくれます。パラリンアートの活動が、皆様の心に少しでも笑顔や癒しをもたらすことができれば幸いです。お子様の輝く未来を心から応援しています。そして、ご家族皆様の健康と幸せをお祈りしています。

 

 

スぺサポ:本日はインタビュー企画にご協力頂きありがとうございました。これからもパラリンアートの益々の発展を応援しております。医ケアkidsナビを通じてパラリンアートさんを知る方が増え、アーティストの増加に繋がれば嬉しく思います。

 

 

 

I-4  インタビュー(パラリンアート様)

 

 

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この記事を読んで少しでも関心を持たれたご家族の皆様、ぜひお子様と一緒にトライしてみてはいかがでしょうか?以下リンクよりお気軽にご登録下さい。また、支援者の皆様も周囲のご家族にぜひこの素晴らしいプログラムのご紹介をお願いします!

 

【アーティストの登録はこちら】

アーティストに関して | 一般社団法人障がい者自立推進機構 パラリンアート運営事務局 (https://paralymart.or.jp/wanted/)

 

【パラリンアート様への質問、お問い合わせはこちらから】

お問い合わせフォーム | 一般社団法人障がい者自立推進機構 パラリンアート運営事務局 (https://paralymart.or.jp/inquiry/)

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