J-17 医ケア児家庭の家族計画 ⑤付き添い入院無理なんだけど問題

 

 

マジで無理なんだって付き添い入院

 

入院が日常の一コマになっている医ケア児のパパママならばよくご存知でしょう。

 

子どもの入院には付き添いが必要なのですよ。

 

これは障害のある子、医ケア児に限りません。

 

自分で身の回りのことができない子ども、不安で泣いてしまうような子どもが入院するとき、

親の付き添い入院が求められることがほとんどです。

 

 

NPO法人キープ・ママ・スマイリングが行った2022年の「入院中の子どもに付き添う家族の生活実体調査」によると、8割は付き添いが強制であり、選択の余地がなかったとされています

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ですが、入院する子以外にも子どもがいる場合、付き添い入院を求められても困りますよね。

 

大きいお兄ちゃん、お姉ちゃんならまだしも、他にも小さな子がいる場合、付き添い入院なんてできないじゃん。

この子どうするのよ、って思うでしょ?

 

入院する上の子を一人で入院させるのは心配。

もちろん付き添ってあげたいという気持ちはある。

でも、パパもママも体は一つなの。

上の子が心配なのと同じくらい、下の子も心配。

分身できればいいのにね。

でも現実には無理じゃん。

どっちかにしか付いていてあげられない。

 

 

子どもの入院=付き添い入院、その時、下の子はどうしたらよいのか。

 

 

結論から言いましょう。

 

現在、この問題に対する有効な解決策はありません。

 

 

 

とはいえ、なんとかはなるんですよ。

なんとかなる、というか、なんとかする、というか……。

 

なんとかはできますが、はっきり言ってそれは解決策ではありません。

そもそも、入院に付き添うか否かを選択できないということが、根本的な問題なんですよ

 

 

 

 

J-17 医ケア児家庭の家族計画 ⑤付き添い入院無理なんだけど問題

 

 

 

 

 

 

付き添いできないと入院させてもらえない それってありなの?

 

 

 

 

本来、付き添い入院を強制することは医療機関としては問題があるはずなんです。

 

 

 

 

J-17 医ケア児家庭の家族計画 ⑤付き添い入院無理なんだけど問題

 

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色々本当は規定があるので、付き添い入院に関しては「患者家族の希望」という体をとらされることがあります。

よくわからないけれど同意書を書かされたことがあるでしょ?あれです。

 

 

どうしても付き添いする人が必要なら、ベビーシッターとか個人契約看護師とか雇って付き添ってもらおうか、とか思うでしょ。

でもそれはダメなんですよ。

上記規則の通り、患者に付き添うために誰かを雇って付き添わせることは禁止されています。

 

でもじゃあ、患者に付き添うために、下の子のベビーシッターを雇うのはありなの?って思いません?

 

 

だいたい、強制的に付き添わせるなら衣食住くらい提供しろよ、と思う。

寝る場所もない、食べるものもない、やることもほとんどない。

やることといえば子どもの病状の心配くらい。

 

 

上記の通り看護の規定では付き添い入院は基本的には必要ないということになっています。

よって、付き添い入院に関して診療報酬はつかないし、今後もつかないでしょう。

診療報酬がつかなければ、待遇改善のための費用は全て病院が負担することになります。

よっぽど儲けているか、よっぽど付き添い入院の待遇に関心のある病院でなければ、付き添い入院の衣食住が確保される見込みは薄かろうと思います。

 

 

 

 

 

 

付き添い入院 待遇改善にむけての動き

 

 

そんな暗い現状ではありますが、「付き添える環境の改善」や「付き添わない選択肢」のための活動をしてる団体もあります。

 

目指す社会 | キープ・ママ・スマイリング

 

 

こうした活動が実を結び、少しずつ環境は改善されています。

 

 

2024年こども家庭庁は環境改善のため、家族が休める部屋を設けるなどの改築、ソファベッドや寝具、電子レンジといった物品の購入に関して補助金を出すことを決めました。

 

また、厚生労働省の行った20246月の診療報酬改定にて、家族をサポートするため、保育士を2人以上配置した病院に対し加算がつくことになりました。

さらに、看護助手(夜間も働ける人員)を配置した医療機関にも加算がつくことになりました。

 

 

子どもへの「付き添い入院」、ベッドや寝具揃え家族の負担軽減…購入費を補正予算に計上 : 読売新聞

厚生労働省が付き添い入院の家族の負担軽減への動き、24年6月より医療機関の保育士や看護助手の配置を促す診療報酬が適用 | ファミケア

子どもの「付き添い入院」、家族の負担軽減へ…病棟スタッフ増やし睡眠・食事の時間確保 : 読売新聞

令和5年度子ども子育て支援推進調査研究事業 「入院中のこどもへの家族等の付添いに関する病院実態調査」の 中間整理について

 

 

環境改善、人員配置が進めば、いずれは付き添い入院をするか否かを選択できるようになるかもしれません。

 

 

 

が、今現在それは不可能。

付添入院を強制された場合、下の子はどうにかしなければならない。

 

 

 

 

結局、付き添い入院時に下の子はどうしたらいいの?

 

 

パートナーがいれば、まだ解決は楽かもしれません。

しかも、仕事がフリーランスで基本的に家にいる。

少なくとも毎日家に帰ってきてくれる。

それならまあ、なんとか……。

 

困るのは、パートナーは単身赴任で基本的に家にいない、とか。

夜勤があるから、帰ってこない日がある、とか。

 

 

え、どうしよう?ってなるでしょ?

 

 

でも、そこをどうにかするんだよ!

 

 

 

J-17 医ケア児家庭の家族計画 ⑤付き添い入院無理なんだけど問題

 

 

〇一緒に入院する

 

 

これを認めてくれるかどうかは病院による……

何しろ、何の問題もない下の子に無理やり病名をつけて入院させてしまうという荒業だから。

 

でもね、

 

 

医師「付き添い入院してもらえないと、入院させられません」

親「え、でも下の子がいるし、私の他に面倒見れる人もいないし……」

医師「でもこの子(病気の子)は絶対入院が必要ですよ?」

親「なんとか、付き添わなくてもよい方法はありませんか?」

医師「じゃあ、下の子も一緒に入院しますか」

 

 

なんてことがあるんだよ!

おかしいでしょ?

でもこれが現実。

 

 

 

あの劣悪な付き添い環境の中に、子どもが2人……。

一つのベッドに3人で寝るという状況……。

もう、何してるんだかわかんない感じになる。

 

付き添いしている親のストレスは半端ない。

元気な子も、部屋に閉じ込められている状況にストレスを感じるから、はっきり言ってお勧めはできない。

 

でもこれが一番簡単な解決方法ではあります。

子どもの預け先を考えなくていいし、子どもは入院しているから離乳食でも何でも食事出してもらえるからご飯の心配はないし。

 

病院が認めてくれるなら、一考する価値のある方法かと。

 

 

 

 

 

〇預け先をフル活用する

 

 

子どもの預け先に関しては前回記事をご参照ください。

 

医ケア児家庭の家族計画 医ケア児育児とただの育児には違いがある

 

 

 

遠方にいようと何だろうと、おじいちゃんおばあちゃんを呼び出す。

保育園に預ける

ファミリーサポートを使う

ベビーシッターを雇う

 

 

これら全てを駆使して何とかする。

 

ただ、これには事前に準備が必要です。

 

医ケア児の入院は突然やってきます。

急遽預けたいと思っても、遠方のおじいちゃんおばあちゃんはすぐには来れないし、他の預け先も登録や手続きが済んでいなければ預かってはくれません。

 

緊急の事態に備え、預けられる先は必ず事前に確保しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

付き添い入院は課題だらけ

 

 

付き添い入院の強制は、兄弟のいない家庭においても大きな問題をはらんでいます。

 

前出のキープ・ママ・スマイリングの調査では、付き添い入院中、経済的な不安を訴える人は7割以上でした。

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兄弟がいて、預けるために人を雇えばさらにお金が必要になります。

 

経済的に厳しい家庭、さらに兄弟のいる家庭では、付き添い入院はしたくてもできない状況の可能性があります。

 

経済的に余裕があったとしても、付き添い入院を繰り返すうちに、下の子の心情を思いやれば付き添い入院がもうできない、と感じるようになるかもしれません。

 

 

付き添い入院ができない、そのために病気の子を入院させられない、もう少し大丈夫だと様子を見てしまう。

結果、最悪の事態になってしまうこともあります。

実際、そういったことも起きています。

 

付き添い入院の強制は解決すべき問題です。

ですが、未だ解決されていません。

 

 

今の現状では、強制された場合付き添い入院せざるを得ません。

どうしても付き添いができない場合は、入院を諦めなければいけないことも。

しかし、「付き添い入院が難しい」という状況であったとしても、「入院すべきタイミングを逃さない」ことだけは注意しなければいけません。

 

 

 

 

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