J-25 医ケア児の短期入所(ショートステイ)について調べてみた⑥

 

 

短期入所(ショートステイの課題)〈利用できる施設の不足〉

 

 

 

 

 

現在、在宅で生活する医療的ケア児(医ケア児)(0-19歳)は2万人を超えており、増加傾向にあります。

※医療的ケア児支援法によれば、「医療的ケア児」とは、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童(18歳未満の者及び18歳以上の者であって高等学校等(学校教育法に規定する高等学校、中等教

育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部をいう。)に在籍するものをいう。)をいいます。

 

 

 

J-25 医ケア児の短期入所(ショートステイ)について調べてみた⑥

 

PowerPoint プレゼンテーション

 

 

 

 

医ケア児の数が増えるということは、短期入所(ショートステイ)の需要が増しているということでもあります。

 

医療型短期入所の開発促進事業にあたって、全国の取り組み状況を把握する目的でR5年に神奈川県が全国都道府県に行った調査では、以下の通りでした。       

 

 

J-25 医ケア児の短期入所(ショートステイ)について調べてみた⑥

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/49682/chousakekka1.pdf

 

 

 

 

 全国の自治体で医療型短期入所が充足していると考えている自治体は1つもないということです。

 今後も医療的ケア児が増えていくことを考えると、やはり不足した状況がしばらく続くものと考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

「不足している」というのは、一概に「定員が少ない」という意味ではありません。

サービスの提供に制限があるために、事業所はあっても利用できない、という状況のことでもあります。

 

 

 

J-25 医ケア児の短期入所(ショートステイ)について調べてみた⑥

 

 

 

 

地域格差

 

 

人工呼吸器の管理を必要とする等の重度の医ケア児を受け入れられる事業所は都市部に集中する傾向があります。

 

人口の比率上、仕方のないことではありますが、地方ではサービスが受けられないという状況でもあります。

 

また、送迎に関しては車で30分以内の範囲に限定している事業所等もあるため、送迎の範囲外であるために利用できないという家庭も存在します。

 

 

 

 

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対象の制限

 

 

医療型短期入所の対象者は基本的に重症心身障害児とされます。

そのため、動ける医療的ケア児の受け入れ先がない、という問題もあります。

 

 

動ける医ケア児がサービスの支給対象外というわけではありません。

人工呼吸器がないという理由で医療型短期入所の利用を認めないケースもあるようですが、自治体の支給決定における取り扱いで「動ける医ケア児」を対象外としている自治体は約6%で、約7割の自治体では「個別に判断」としています。

 

 

しかしながら、事業所に動ける医ケア児の受け入れを想定した人員配置やサービスがないために、利用できないという状況にあるようです。

 

 

重症心身障害児であっても、「寝返りがうてる」、「ずりばいができる」を「動ける」と判断されることがあります。

少しでも「動ける」ことで危険性が高まり、見守り度も上がるため、受入れに消極的な事業所が多いようです。

 

 

 

また、シャント(血液透析を行う際、充分な血液量が確保できるように、動脈と静脈を体内または体外で直接つなぎ合わせた血管の事)が入っている、ペースメーカーが入っている、不整脈があり常にAEDを持ち歩いている、など急変時にのみ医療的な対応が必要になる子もいますが、日常的な医療的ケアは必要ないために医療型短期入所では預かってもらえない場合もあります。

 

 

他にも、障害者手帳の対象とならない医ケア児も存在しますが、その場合はさらに利用できるサービスが限られてきます。

 

 

 

 

医療型短期入所で利用が制限される場合でも、福祉型強化短期入所であれば利用できる可能性はあります。

福祉型強化短期入所にも看護師が必ず配置されるため、医療的ケア児の受け入れは可能です。

 

しかしながら、医療型と同程度の看護師人員を配置できているわけではないことが多いため、人工呼吸器装着児は通所事業所への送迎を断られることがあり、その場合保護者による送迎が必要となります。

このため、保護者の体調不良等によりサービスの提供を受けることができなくなったり、看護師の配置時間しか利用ができなかったりなど、利用が制限されることがあります。

 

 

 J-25 医ケア児の短期入所(ショートステイ)について調べてみた⑥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上記の通り、色々な意味でショートステイは不足している状況にあります。

 

この事実は厚生労働省、各自治体でも把握されているため、短期入所開設の促進事業等が計画、あるいは実行されている自治体も存在します。

すぐには解消されない問題ではありますが、医ケア児の生活が認知されるとともに少しずつ改善されるものと期待されます。

 

 

厚労省障害福祉課 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム

 

 

 

 

 

 

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