イヤイヤ期 親も大変だけど、子どもも大変
第一次反抗期が始まるのが2-3歳頃でしたね。
このころから「自分とお母さんは違う」ということを理解し始める、母子分離が始まります。
3-4歳くらいというのは、母子分離が始まってはいても完全には分離されていない時期です。
まるでパートナーの浮気を疑っているような状態ですよね。
ちょっと違う?でも凄く不安な状態だってことはわかりますよね。
3-4歳の母子分離が進んでくる頃は、精神的には不安感の強い時期ということです。それが反抗という形で「イヤイヤ期」につながるのですね。
第一次反抗期の兆候は前回の記事をご参照ください。
0-3歳児向け 絵本の選び方 (spesapo-navi.jp)
発達がゆっくりな子、言葉の表出が難しい子の場合、「なんだか反抗的な態度をとる」とか「いつも通りのことを嫌がる日がある」といったことがあれば、反抗期の始まりかもしれません。
そしてそういったことが複数回あったり、日常的にみられたりするようになれば反抗期に入ったと思ってよいのではないでしょうか。
そうであれば、その子は精神的には3-4歳程度の発達がある、と考えてよいかもしれません。
具体的にはどんな絵本がいいんだろう?
では、反抗期真っただ中、3-4歳にはどういった絵本が向いているのでしょうか?
「自分とお母さんは違う」ということに気が付いてくる時期ですから、他人=自分じゃない人とは何なのか、を理解しようとする時期でもあります。
この「自分と他との関係」を理解するために、「物語」を必要とするようになります。
昔から人間は「自分の理解が及ばないことは神様のせい」ということにしてきましたよね。
理解できない事故や天災について神話という形で納得してきたわけです。
子どもも同じように、理解できない「他との関係」を物語の形で納得していくわけです。
ポイント①:民話
子どもには西暦何年とか何時代とか、具体的な時間軸はまだ理解できません。同様に、日本とかアメリカとか具体的な場所もわかりません。
「むかしむかしあるところで」という不明確な中での話の方が馴染みがよいのです。
『おおきなかぶ』 ロシア民話 A.トルストイ 福音館書店
『てぶくろ』 ウクライナ民話 エウゲーニー・M・ラチョフ 福音館書店
どちらも同じ展開が繰り返される構造になっています。
同じ言葉や表現を使うことで小さい子にとっても理解しやすい内容ですが、
おじいさん>おばあさん>孫 ネズミ<ウサギ<クマ
といった大きい小さいの感覚が必要という点で3歳より大きい子向けです。
ポイント②:遊びにつながる
『だるまちゃんとてんぐちゃん』 加古里子 福音館書店
ちょっと違うけれどこれとそれは同じもの、という認識力が必要です。
これとそれは同じ、と見つけることが探求心をそそるお話です。
『ぶたたぬききつねねこ』 馬場のぼる こぐま社
しりとり遊びの絵本です。
3-4歳は言葉の数も増え、しりとりなどの言葉遊びが楽しめるようになります。
言葉の表出のない子がどれほどの言葉を理解できているかはわかりにくく、自分でしりとりをすることはできません。
だからこそ、絵本でこうした遊びをしてあげるのがよいのではないでしょうか?
ポイント③:空想が広がる
『わたしのワンピース』 にしまきかやこ こぐま社
ワンピースが変化したり空を飛んだり、現実では起きない出来事ですが、物語であればどんなことでも可能です。
こうした物語に触れることで、想像力が広がっていくことでしょう。
3-4歳は母子分離が進むだけでなく、言語が発達し、色々な体験が増えてくる時期です。
言葉の表出のない子であっても、3-4歳程度の発達が見込まれる子であれば「なんとなく、この言葉はわかっているようだな」とか「こっちの言っていることに反応してる?」と思う瞬間が増えてきているのではないでしょうか?
この時期は物事が見えてくることで色々なものに興味を持つようになる半面、新しい世界に対する不安も大きくなる時期でもあります。
だからこそ、まだまだ依存対象である身近な大人の声で、たくさん読み聞かせをしてあげてください。
※ 当記事は「絵本児童文学研究センター」の基礎講座を参考にして構成しております。
絵本・児童文学研究センター(通信講座・通信教育/名誉会長 河合隼雄 氏) (ehon-ej.com)