これだけは絶対に必要!医ケア児の預け先
医ケア児の我が子にも兄弟を!となると、避けられないのは妊娠・出産の問題。
妊娠中、初期はつわりが大変で、中期は体の変化についていけず、後期は大きなお腹が苦しくてつらい。
つまりずっと大変。
その間、医ケア児のケアを普段通りこなせる自信がない……。
それに、出産~産後の間はどうしたって自分で介護お世話をするわけにはいかない。
どう頑張っても誰かに助けてもらわないといけません。
自分以外に医ケア児の面倒をみてくれる人が必ず必要です。
絶対に預けないといけないなら、誰に預ける?
一番に考えるのは家族でしょうね。
パートナーやおじいちゃんおばあちゃんに助けてもらうというのが手軽で手っ取り早いですよね。
ですが、長期的な目でみると家族以外の選択肢も持つべきかと。
産後、すぐに元気に動けるわけではありません。
場合によっては数カ月単位で医ケア児のお世話をするどころではない可能性も。
それに、「少なくとも産後は」預けないといけませんが、体調次第では妊娠中、しかもかなり早期の段階からママが医ケア児のお世話をできなくなる可能性だってあります。
その間、介護と育児をパートナーやおじいちゃんおばあちゃんにお任せし続けることができるでしょうか?
産後だけならまだしも、産前から長期間となってくると、ちょっと……って感じでしょ?
お互い気をつかうし。
相手にだって予定もあるだろうし。
そもそも、「この人に任せっきりで大丈夫かしら……」とかちょっと不安だったりするし。
となると、お兄ちゃんお姉ちゃんになる医ケア児をよそで預かってもらう、というのが現実的な解決策になってきます。
つまり、弟妹を出産するとなったら、医ケア児を預かってくれる場所を確保する。
これは絶対に必要だということです。
医ケア児の預け先
〇保育園
医ケア児と一括りに言っても、障害の程度は様々です。
ケアがほとんどなく、障害の程度がわずかであれば一般の保育園でも預かってもらえる可能性があります。
一方、重症心身障害児(重心児)の場合は一般的な保育施設では難しいでしょう。
重心児を安心して預けられる場所となると、医療的なケアに精通した施設に限られてきます。
〇医療型短期入所施設(ショートステイ)
ショートステイは、家庭の事情、親や介護者のレスパイトなど、一時的に障害児・者が施設へ外泊する形で生活することができる施設のことです。
短期入所(お泊り可)が基本ではありますが、中には日中預かりのみ(日中ショート)の施設もあります。
ベッド数が決まっているため、事前に予約する必要があります。
入所中は看護師、介護士などがケアを担当してくれます。
施設によっては保育士も配置されており、日中も楽しく過ごせるように配慮されています。
【障がい児向け】医療型の短期入所(ショートステイ)とは?利用できる施設や対象者などを解説 | ファミケア
利用するには「障害福祉サービス受給者証(短期入所受給者証)」が必要です。
障害者・障害児の短期入所の役所手続きや使い方、受給者証の流れ | 障害者グループホームラボ
まず、市町村の役所で相談しましょう。
障害福祉課などで短期入所を利用したい旨相談すると、必要な手続きを教えてもらえます。
簡単な流れとしては、
①医師の診断書を提出
②役所の職員からの聞き取り
③障害福祉サービス受給者証を入手。障害支援区分が決まる。
事前に短期入所利用の希望を伝えていれば、この時点で短期入所(ショートステイ)を使えるようになります。
後は希望する短期入所施設を探して、その施設と契約すれば利用を開始できます。
〇医療型児童発達支援施設
医療型児童発達支援施設は、肢体不自由のある未就学児が、運動・保育・医療を受けることができる通所施設です。
こちらの記事もあわせてご覧ください。
日中の活動が充実しており、保育士も多く配置されています。
ケアに関しては配置された看護師が行うことが多いようです。
リハビリを行ってくれる施設ではありますが、リハビリをする場合は「付き添いが必要」と言われることがあるので、預かりのみの日にはリハビリはしてもらえません。
医療型児童発達支援を利用したいときは、「通所支援受給者証」と医療保険の「保険証」ならびに「肢体不自由児通所医療受給者証」が必要です。
通所支援受給者証と肢体不自由児通所医療受給者証の交付の仕方については各自治体障害福祉窓口に相談します。
その後、「障害児支援利用計画案(ケアプラン)」の作成を行います。
これが実は地味に難題だったりします。
自治体によってはケアプランを立ててくれる指定相談支援事業所を紹介してくれるらしいですが、自分で相談支援事業所を探さなければいけない場合もあります。
しかしながら、児童にも対応してくれる相談支援事業所は少ないため、結局自分で作成(セルフプラン)する方も多いようです。
ですが、初見でセルフプランを立てるのはちょっとハードル高め。
相談支援事業所がない!セルフプランもよくわからない!
というときは、先に希望する事業所の体験や見学に行ってしまうとよいです。
事業所によっては相談支援事業も行っている場合がありますし、そうでなくても、セルフプランの立て方の相談にのってくれるはずです。
ケアプランの提出後、「通所支援受給者証」と「肢体不自由児通所医療受給者証」が発行されます。
医療型児童発達支援とは?利用条件と費用等気になることを解説 | ふくしの窓口
〇児童発達支援・放課後等デイサービス(重心型)
「児童発達支援」が対象とするのは0歳から6歳までです。
そのため、上記の医療型児童発達支援施設が対象とするのは未就学児まで、ということになります。
え⁈じゃあ小学校以降はどうするの⁉
という受け皿になるのが、「重心型放課後等デイサービス」です。
こちらの事業で主に対象となるのは特別支援学校や小学校・中学校・高校に通う重症身体障害児です。
「重心型放課後等デイサービス」を行っている事業所では「重心型児童発達支援」も行っていることが多いです。
そうした施設であれば、0歳から高校生まで一貫して預けることが可能です。
「一般的な放課後等デイサービス(児童発達支援)」と「重心型」では何が違うのかというと、定員数とか加算とか看護師を必ず配置するとか、そういった施設基準の違いはあるのですが、利用者の認識としては「医ケア児を預かってもらえるかどうかの違い」でよいかと。
ただし、ここで一つ落とし穴が!
重心型児童発達支援・放課後等デイサービスが対象とするのは重症心身障害児であって、重心医療的ケア児ではないということです。
重症心身障害とは診断名ではなく、児童福祉法上の定義で、「重度の身体障害と重度の知的障害を併せ持った状態のこと」をいいます。
自力で起き上がれない・排泄ができない・食事ができない、言葉による意思疎通が困難、などの特徴のある児童とされます。
この定義の中に「医療的ケアがあること」は含まれません。
そのため、医療的ケア児、特に動ける医療的ケア児に関しては受け入れてくれない可能性があります。
医ケア児の受け入れが可能がどうか(どういったケアが可能なのか)は、必ず施設に確認しましょう。
放課後等デイサービスの利用にも「通所支援受給者証」が必要です。
流れは上記、医療型児童発達支援施設の項で述べた通りです。
まずは各自治体の障害福祉窓口に相談しましょう。
放課後等デイサービスの利用方法|手続きの流れをわかりやすく解説! - 放課後等デイサービス ココノワ
簡単にまとめると……
医療型短期入所施設と児童発達支援施設、放課後デイサービスはそれぞれ法的根拠や施設目的など細かい違いがありますが、医ケア児を安心して預けられる施設であることに変わりはありません。
利用者の目線でざっくりと違いを言うと、
「医療型短期入所施設」= 医ケア児を預かってくれるお泊り保育園or学校
「医療型児童発達支援施設」=リハビリをしてくれる医ケア児受け入れOKな保育園
「重心型児童発達支援施設」=医ケア児も見てくれる保育園
「重心型放課後デイサービス」=医ケア児OKな学童(高校生まで可)
という感じ。
どれを利用するにしても、利用する施設や事業所の目星をつけておいたほうがスムーズに進みます。
施設や事業所に関してはこちらもご参照ください。
上記の通り、入所受給者証や通所受給者証の発行にはある程度時間がかかる上に手間もかかって正直面倒くさい。
まだ入手していないようであれば、妊娠がわかったらすぐに申請するようにしましょう。
現在妊活中という段階や、今後妊娠を考えているという場合でも、先に申請だけは済ませておくことをお勧めします。